もう死なないで準一


 

もう死なないで 準一

 

その看板は、旧善波トンネル出口付近に建っていたという。

 

紫色の看板に白の文字、周囲には黄色い電球をあしらっており、

看板の上には小さな仏像が乗っていたという。

 

そして、夜になるとこの看板が光っていたという。

 

当時、この辺りには、民家がポツリポツリとあるだけの閑散とした風景で、

今のようなラブホテル街ではなかった。

 

そんな風景の中、夜になると、この看板だけが異様に目立ち、

通行する者たちの間で、数々の疑問が囁かれた。

 

準一君という少年が、この場所で事故死をしたのは、

新聞にも載ったので、知っている人も多い。

 

しかし、なぜ、『もう死なないで』なのか・・・。

 

その噂の一つは、『じゅんいち連鎖説』である。

 

『じゅんいち』という名前の人が、車やバイクで、この峠を通りかかると、

目の前に準一君の霊が飛び出してきて、事故に誘うのだという。

 

そして、『じゅんいち』という名前の人ばかりが事故死するということで、

もう死なないでじゅんいち』という看板が立てられたというのだ。

 

これが『じゅんいち連鎖説』だ。

 

この噂には、続きがある。

あるトラック運転手が、この峠を通りかかった時、

やはり少年の霊が現れたという。

 

しかし、事故寸前で車を止めることができた。

その時、少年の声がしたという。

 

「なんだ・・・お友達になれると思ったのに・・・」。

 

なぜ、このトラック運転手が事故に遭いそうになり、

事故から逃れることが出来たのか・・・。

 

それは、この運転手の名前が『じゅんじ』だったからだという。

 

この『じゅんじ生還説』には、事故寸前説とエンスト説がある。

 

上記のようなトラックが事故寸前で止まって声が聞こえたという説と、

急にエンストしたので、車外に出たら、少年が現れたという説があるのだ。

 

いずれにしろ、『じゅんいち』という名前でない限り、助かるのだという。

 

いつの頃からか、この道路そのものが、

じゅんいち君道路』とまで呼ばれるようになった。

 

では、この事故に誘う『じゅんいち』君とは、どんな少年だったのか・・・

 

事故を誘う謎の少年・・・

その真相とは

 


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