雷電温泉病院

Raiden Spa Hospital


おお!憧れの雷電温泉病院!今回は、同行者の都合で、夜の探索になった。 そこらじゅうの窓に格子がはめられていて、まるで精神病院のようだ。 しかし、ここが精神病院だという話は聞いたことがない。
さっそく、潜入ルートを探してみることにした! ここがメインエントランス・・・って、トラックが突っ込んでんがな。 横から見ると、こんな感じ。まぁ、よくもスッポリとはまったもんだ。
実は、このトラック、後ろにクレーンが付いていたのですが、雪の重みで潰れていました。 お!破壊されている窓があった!ここから入れそうだ。 ん?ここは病院なのか?とても病院には見えない内装だが・・・
病院というよりは、山荘、ロッジ風という感じだけど・・・ ここは、『食堂』というプレートがついていた。なるほど、冷蔵庫が3台置いてある。 大量の建具が外されていた。やはり、病院の内装とは異なっている。
非常に古いタイプのレジスター。病院というよりはレストラン? 素敵なバーカウンターもあり、まさに、山小屋風レストラン! 使われなくなった暖炉もあって、どうやら、山荘を改装して病院にしたような感じだ。
廊下に出ると、雪かき用の巨大なスコップがいくつもあった。冬場は相当、雪深いのだろう。 この病院が廃院になったのは、1983年頃。20年近く、廃墟であったことになる。 手打ち式のパチンコ台が置いてあった。年代を感じる代物である。
食堂の隣は、リハビリテーションルームになっていた。 自転車の形をしたリハビリマシーン。 リハビリ系の病院に必ずあるハンドルマシーン。
ここは温泉を利用したリハビリ病院であることがわかった。 発声・発音の仕方をリハビリするためのタペストリー。絵が怖い(笑)。 部屋の名前は、リハビリルームではなくて『機能訓練室』というようだ。
鉄亜鉛?かと思ったら、鉄亜鈴って書いてあるんですね!鉄アレイって漢字だったのね。 踏台昇降運動を思い出す階段があった。リハビリって大変なんだよね。 ここはラドンを使った放射性温泉治療がメインであったようだ。
ラドンはラジウムが崩壊して出る希ガスで、数百万ボルトのエネルギーを持つα粒子を放出する。 α粒子の速度は、1万km/秒で、8km/秒の人工衛星や月ロケットよりもはるかに速い。 α粒子が物質にぶつかると、物質がイオン化するという作用があるので、さまざまな生理作用を生むらしい。
ラジウム温泉(ラドン温泉)に入ると、このα粒子(α線)を大量に体に浴びることになる。 入浴中に、α線が呼吸によって、肺に入り、血液中に吸収されていく。 また、皮膚からも吸収され、細胞内に入ると、新陳代謝が活性化され、自律神経が正常化していくという。
飲用と入浴を併用することで、リウマチ、通風、高血圧、動脈硬化、慢性肝胆道疾患、 外傷後遺症、糖尿病、痔疾など、様々な病気に対して効果があると言われている。 この温泉病院の場合、38〜39℃なので、一度の入浴で約10分入っていると効果があったようだ。
診療病棟から、奥に行くと、宿直室がいくつかあるエリアにたどり着く。 写真ではわかりづらいが、右上にコウモリが飛んでいる。 そう、このエリアはコウモリの巣窟になっており、キーキーと鳴きながら飛び回っていた。
診療病棟側にあった病室。窓の外には入院病棟が見える。 こちらは『診療室』。何かブンブンと凄い音が鳴っていた。 音の発生源を調べると、ソファーの下に巨大なスズメバチの巣ができていた。これは危ない!
な・・・なんだ、この大量の血痕は!なんだか事件の匂いがする。 たくさんの検査依頼書も散乱していた。 旅館の客室を思わせる部屋。やはり山荘を改装したようである。
この病室は、倉庫と化してしまっていた。 正面の建物から、この通路(スロープ)を通って奥に行くと、入院病棟がある。 廊下は結構狭く、患者を介護しながら病室に連れて行くにはちょっとキツイ感じだ。
雪の重みで、屋根が崩壊してしまっている箇所があった。 入院病棟の隣には、厨房があったが、屋根が落ちかけていて、潰れる寸前であった。 厨房の中は、患者用の銀色のトレーが山積みになっていた。
ガス管が直結している機械があった。旧式のガスオーブンだろうか。 屋根に完全に穴が開いてしまって、天井が垂れ下がっていた。 入院病棟の病室。かつては、山荘の客室だったのだろう。
11号室前の廊下。奥には、12号室、13号室がある。 洗濯室の入口。この辺りは、自然崩壊(雪による圧壊)が激しい。 ここは、入院病棟の『大部屋』。何故か、この病棟の備品は綺麗に片付けられている。
この病院は、温泉リハビリ科以外にも、整形外科があった。 整形外科ならば、手術室があるはず。そこで、手術室探しをすることにした。 この廊下は、大浴場への通路。漏水のためか傷みが酷く、放火されたかのようになっている。
途中で、通路が分かれていて、緊急外来病棟へとつながっていた。 緊急外来病棟の受付付近。とりあえず、先に大浴場に行くことにしよう。 大浴場にたどり着いた。やはり、元々は旅館だったのか、大浴場もデカイ!
ここの温泉はラドン温泉だそうで、放射線治療をしていたそうだ。 でも、近くにある温泉街の旅館の源泉は、無色透明な単純石膏泉だった。 しかも、温泉街の方は源泉温度が53.3℃であったにも関わらず、この温泉病院は湧かし湯。
何故、湧かし湯だとわかったかというと、外にボイラー施設があったから。 大小様々な洗面器、脱衣カゴ、盥がならぶ脱衣所。 懐かしい形のマッサージチェア。これが極楽と感じるようになったら、廃墟探索からは引退せねば(笑)。
プロパンガスのボンベが直結してるガスストーブがあった。 廊下にたくさん伸びるパイプは、暖房器具の配管である。 緊急外来病棟の玄関。救急車用の担架が置いてあった。
緊急外来の受付。この中に薬品室があり、大量の薬品が残っていた。 紫色の怪しいアンプルが見つかった。ヘパトサルファレイン標準液だ! これは、機能検査試薬の注射用アンプルで、3ml管1本で344円する。
第一製薬から出ていた薬品であるが、2002年9月に生産中止になっている。 レントゲン室があった。非常に古いタイプの機械だ。なぜかガストロフィリンが置いてあった。 ガストロフィリンは、胃炎や胃潰瘍患者に用いる胃酸を抑えるための薬である。
加熱乾燥機があった。器具を加熱滅菌して、再利用していたのだろうか? こちらは古くて巨大な電気露出計。こんなもん、何に使うのだろう。 椎骨X線写真標準撮影法のポスター。半裸の女性がモデルになっていた。
こちらは『手術準備室』。この部屋はどういうわけかDQNの被害に遭っていない。 義足だ!ファルコか?元斗皇拳のファルコがいるのか? あった!『手術室』だ。手術台もライトも健在だ!20年経っているとは思えないほど綺麗だ。
患者の目線になって手術用のライトを見てみた。 こちらは担架。この担架は、今まで何人の患者を運んだのだろう。 もうひとつ、折りたたまれた担架があった。
最後にもう一枚、手術室の写真を撮って、その場を立ち去ることにした。 手術室を探すという任務を終え、我々は帰途につくことにした。 残念なことに、この病院は2005年4月に取り壊されてしまった。
今回は、追悼の意を込めて、封印していたものを公開することにした。        

※画像をクリックすると大きくなります。

Back

 

inserted by FC2 system